焦ることは無い。
必ずチャンスは訪れる。
今はただ待つのみ…
先程川原にて素晴らしいアイテムを見つけた。
木の棒だ。
若干湾曲しているが、長さは申し分無い。
これなら適しているだろう。
鍛錬にッッッッ
なんの鍛錬?
そりゃアレだ。アレ。
……
その他諸々の武術…と言えば響きはいい。
その「真似事」にだ。
あくまで真似は真似。
とはいえ危険は危険だ。色々な意味で。
幸い日曜日ながら人通りは少ない
とはいえボチボチ人は通りかかるってはいる
人目を偲びこういう行為はせざるを得ない。
恥ずかしいからだ。
若しくは変人とみなされ下手すりゃ通報案件だ。
川原にて自然に置かれていたもの。だから当然持ち帰る訳にはいかない。
よしんば持ち帰ろうとしてもそれこそ危険人物度が跳ね上がる。この至る所に過敏な配慮をせねばならないご時世だ。
鍛錬一つすら気軽にできないとは哀しきことよ。
じゃあ人が全く通らない真夜中にしろ?
嫌だよ。
それこそ危険人物に狙われたらどうする。(おまいう)
万が一木の棒で反撃せねばならならない事態に陥ってみたら大惨事だ。
君子危うきに近寄らず。
だからこうして昼下がりに人目が少ない場所を探してたのです。
そして絶好の道具を目の当たりにして
もどかしい想いに打ち震えている。
と、やっと絶好のチャンス
右から。誰もいない。
左から。誰もいない。
堤防の上。
向こう岸。
気配無し。
完璧ッッ
今がその時!!
よ〜し、心地よい重量感。
長さも素晴らしい。八極拳で使われてる
六合太槍程ではないにしろ中々の得物。
これからまずは素振りでも…
あ
向こう岸で犬の散歩してるおじさんが…
……
不覚。
また振り出しだ…
まあいい。
自分以外にこの木の棒に関心を抱くもの好きなんてそうそう居ないだろう。
場所は覚えた。
こっそり草むらに隠しておきまた来よう。
さあ
また別の場所で良き「業物」探しに…
金のかからない暇つぶしって難しいものですね。
ああ、思いっきりカラオケで飲んで歌いな…
でもまだ駄目。
電話が鳴るまでは。
吉報が訪れるまでは。
凶報になる可能性もある。
その時までしばし川原にて木の棒を振り回す怪しき男がいても
通報しないでそっとしておいて下さい